下剋上はサブリミナルに【BL】
素直に靴下を脱いで患部を見せる。


「ん~、特別腫れてはいないし、骨にも異常は無いと思うんだけど……。1日様子見て、痛みが治まらないようだったら病院行きなさい。一応湿布貼っておくからね」

「はい」


そんなやり取りをしている間に授業終了のチャイムが鳴った。


膝と足首への必要な処置を、先生はテキパキとこなしていく。


「はいよ。忍」


帰りのホームルームに出席する為に教室に戻っていた勇気が、オレの制服と学生鞄、リュックを手に再び現れた。


「先生がお大事にってさ。その足で自転車は無理だろうから、タクシー呼んでもらえよ」

「え?でもオレ中庭掃除が……」


制服に着替えつつそう言うと、勇気は苦笑しながら返答した。


「怪我人なんだから免除されるに決まってんだろ。同じ班の奴にも了解もらってるから」


ああ、何て痒い所に手が届く男なんだ!


アイツとは大違い。


「あ、そうだ」


アイツで思い出した。


「洸に黙って帰る訳にはいかないから、ちょっと、教室まで……」

「おいおい、無理すんなよ」


フラフラと頼りなく歩き出したオレを見て、勇気が慌てて手を差しのべて来た。
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