下剋上はサブリミナルに【BL】
「お前の靴って、黒のローファー?」

「え?うん」

「じゃああれが……。いや、でもな……」

「どうかした?」

「いや…。あ~、でも、間違えてたら悪いしな」


山本はしばらく悩んでいたが、意を決したように歩き出し、昇降口の隅の方に置いてあるゴミ箱まで近づいた。


何でそこに?と思っている間に蓋を開け、一瞬躊躇してから中に手を入れる。


「……もしかして、これだったりする?」

「あっ」


山本が右手に掴んでいるのは、ズバリオレの靴だった。


黒のローファーなんて履いている奴はごまんといるし、ブランドが違えどどれも似たような物だけど、それでも、自分の靴ってのは理屈じゃなく分かるものなんだよな。


オレはとりあえず運動靴を履いて、山本の傍へと近付いて行った。


「何でこんなとこに……」

「いや、実はさ」


山本は言いづらそうに言葉を発した。


「さっき、体育終わりで下駄箱に来た時に、3組の女子が数人で何かコソコソやってるのが見えたんだよ。俺、体育委員だから後片付けがあって、皆より遅れたんだけどさ」


その言葉に、オレの鼓動は一気に跳ね上がった。
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