下剋上はサブリミナルに【BL】
7
アパートに到着し私服に着替え、風呂場でローファーを洗っていると、玄関ドアが勢い良く開く音がした。
そして、荒々しい足音と共に、あちこちの戸を乱暴に開け放つ音がだんだん近付いて来る。
「何勝手に帰ってるんだ」
案の定、不法侵入者は洸だった。
最終的にたどり着いた脱衣所で、仁王立ちになりながら、洗い場にいるオレを鋭い眼差しで見下ろして来た。
「良いだろ別に。必ずお前と一緒に登下校しなくちゃいけない決まりなんかないんだから」
だけど、今日のオレはそんな事では怯まない。
「……なに?」
「学校だけじゃない。もう、お前とは金輪際係わらない。卒業するまでは我慢するつもりだったけど」
オレはとりあえずローファーを壁に立て掛けると、洸を睨みつけながら立ち上がった。
「もううんざりだ。お前のせいで、嫌がらせまでされて」
「嫌がらせ?」
「これ、ゴミ箱に捨てられてた。犯人は、お前がこっぴどく振った女子だよ」
言いながら、ローファーを指差す。
みなまで言わずとも、分かるだろ。
しかし、洸は信じられない言葉を口にした。
「なんだ、そんな事か」
「そ、そんな事!?」