下剋上はサブリミナルに【BL】
「本当にお前はバカだ」


洸は右手を腰から離すと、オレの後頭部にそっと触れた。


「俺がこれだけ好いてやってるのに、全然気がつかないんだから……」


言いながら、髪の毛をサワサワと撫でてくる。


エスパーじゃあるまいしそんなん分かるか!!


もっとストレートに、ショートカットに愛情表現しろよ!


1歳半の時からの付き合いなんだから、それなりに情というものが芽生えるし、コイツがそういう考えを常日頃からもっとアピールしてくれていれば、オレだってここまで敬遠したりはしなかったのに。


いや、今からでも、遅くはないか?


コイツが態度を改めてくれるなら、別に突き放す理由はない訳で……。


「分かってくれたか?俺の気持ち」


それまでのやり取りに加え、極めつけに、今まで耳にした事のないような、優しい、甘い声音で問い掛けられ、オレの敵対心はもうすっかり成りを潜めてしまった。


「で、でも、大学はオレの行きたいとこに行くから」


これだけは譲れない、流されてはいけない、と思い、キッパリと宣言する。


「もうそのつもりで準備して来たんだもん。今更変えたくない」
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