下剋上はサブリミナルに【BL】
それに、何だか、眼差しがありえないくらいやさしいんですけど。


「何緊張してるんだ」


洸はフッと微かに笑うと、からかうような口調で続けた。


「もうそろそろ、おばさん帰って来る頃だろ。何もしやしないよ」


……何もって……。

そりゃ、する訳ないだろ男同士なんだから。

何言ってんだコイツ。


しかし、何だかこういう態度は気に入らない。


オレは、キッと上目遣いに洸を睨みつけた。


「オレの事が好きっていうのなら……」


賭けをするつもりで物申す。


「もうちょっと、やさしくしてくれないと、やだ。今度こそホントに嫌いになるぞ」


若干拗ねた口調でキメてみる。


「……分かった」


あれ?


何かコイツ、今、ちょっと慌てなかった?


「少しはオレのペースに合わせてくれる?」

「努力する」


うそ。

コイツが、こんなに素直にオレの言う事に従うなんて。


「じゃあ、今度購買のパン買って来て。一番人気のカツサンドね。あ、飲み物も。すぐ売り切れちゃうビンのコーヒー牛乳を」「調子に乗るなよテメー」


どさくさに紛れてパシリ扱いしたらさすがにキレられた。
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