アンダーサイカ
「僕が豊花ちゃんを食べたいという気持ちは、少しも変わっていませんからね。」
「………っ。」
そうだ、この人は私を食べたいんだ。
だから名前を支配して私をここに引き留めた。
…ただその理由はまだ教えてもらってないけど。
緊張で何も言えなくなってしまった私。
ほっぺをやらしい手つきで撫でていたヨシヤが、急に我に返ったみたいにパッと離れた。
「さて、お仕事しましょうか。
時間も押してますからね。」
白々しく言うと、足元に積み上げられていた段ボールを開け始めた。
私はそれを呆然と眺めていたけど、
「ほら、看板娘も働くものですよ。」
「あ…うん。」
ヨシヤに促されて、一緒に段ボールの中をごそごそし始めた。
さっき私は、平たくいえば「いつか殺す」と宣言されたのに。
こうして肩を並べて作業するなんてなんだか……いや、とっても変な気分だ。