アンダーサイカ


手を引かれて店に入った直後だ。

「わっ!!」

入り口に、ワラワラッと小型の生き物が大量に押し寄せてきた。



すかさず私を抱き上げてくれたヨシヤのおかげで、生き物の中に埋もれることはなかった。
けれどそれでも、ダチョウの卵くらいの大きさの黒い塊が、群れを成してヨシヤの膝まで積もってる。

私はキョトンとしてヨシヤの目を見た。
逆にヨシヤは、ずっと笑顔だ。慣れきった様子の笑顔。



ピョコンと塊のひとつが起き上がった。


【オマエカ!
新シイ薬屋ノ商人(あきんど)見習イカ!】


鉛筆みたいに細長い手足に、さっきの大蛇と同じ紫色をした、ビー玉みたいな目。それがつるんとした黒い卵の体にくっついてるんだ。
さっきの大蛇オバケは恐かったけど、この卵オバケはずいぶんと可愛い。

オバケにもバリエーションがあるんだなぁと、ちょっと楽しくなってきた。


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