アンダーサイカ
“お客様”が到着してから30分もすると、狭い通路は大小様々な黒いオバケたちで埋め尽くされた。
昨日の小人オバケが触れ回ったおかげか、冷やかしだけどこの薬屋を覗いていく客は多かった。
今も、看板娘らしくレジ横の椅子に腰掛ける私の頭の上には、ヒヨコサイズの黒い毛玉がご機嫌な様子で居座っている。
これもどうやらオバケ……いや、お客様らしい。
「…髪の毛モシャモシャしないでよ。」
まるで自分の巣みたいに。
ヒヨコオバケはちっちゃいから強気で言ってみるんだけど、やっぱり立ち退く気配はない。
【ココハ居心地ノ良イ所ダ。】
「それはどーも。…はぁ。」
溜め息を吐き、ヨシヤを見る。
彼の肩や頭の上にも、5匹くらいのヒヨコオバケがくっついていた。
もちろんヨシヤは慣れた様子。