アンダーサイカ
【ユタカ、“電車”ニ、乗リタイカ?】
「電車………?」
始発から終電まで走ってる普通の電車なら乗ったことあるし、別に今すぐ乗りたいとは思わないけど、
シチュエーション的に、オバケはこう言ってるよね?
“さっき自分たちを乗せてきた電車に乗りたいか?”って。
終電がとっくに無くなった時間に走る電車。封鎖されてるはずの斎珂駅に停まる電車。
オバケを積んだ、怪奇電車。
そんなの………、
「乗りたいわけないよ。
…こ、怖いもの。」
どんなに興味深い秘密があったとしても、それだけは絶対乗らない。大蛇オバケの口の中を覗くくらい嫌だ。
私が拒否するのをオバケは予想していたのかな。
嘴(くちばし)に似た口をニマッと笑みの形に歪めて、嘲るようにこう言った。
【ツマラン娘ダナ。
地上人ナラバ、知リタイト思ワナイカ?
コノ世界ト、我々ト、
アノ“薬屋”ノ正体ヲ…。】
「…………。」
薬屋………って……、
「ヨシヤのこと…?」