アンダーサイカ


「………。」


潤ちゃんがこうしていつも通りに笑ってるのって、たぶん、

アンダーサイカの記憶を無くしたからなんだよね。


地上人である二人は警備員さんに見つかった。ということは、二人のほうも本当は警備員さんの顔を見てるはず。

それすら忘れてるってことは…、



―――潤ちゃんと拓くんの記憶の中から、“アンダーサイカ”の存在が消えたってこと…。



「…ねえ、潤ちゃん。」


「ん?」


「…一昨日の夜さ、私たち、
一緒におうち帰ったよね?」



また新しい疑問が湧く。

潤ちゃんたちが記憶を消されたのなら、どうして、



「そうよーっ!!
あのあとあたし、家の目の前で親に見つかって、真夜中なのにすんごい声で怒鳴られたの!

豊花と拓哉、それ見て笑ったでしょ!」


「…………。

…あははっ、ごめん。
でも別に何事もなく帰れたんだから、良かったじゃん。」



どうして私だけ記憶を消されなかったんだろう。


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