アンダーサイカ


「あの……っ!」



「ッ!!」

私が呼びかけるとお兄さんたちはビクッと肩を震わせ、さっきよりも更に狼狽えた。

片方が「さっさと行こう」と手を引くのを、



「ま、待って…!!」


私は即座に引き止めた。
お兄さんのもう片方の手を掴んで。



「ヒッ…!!」


掴んだ私の手を、お兄さんは反射的に振り払った。
まるで化け物を前にしたように。

私は当然わけが分からなくなる。
それは向こうも同じこと。でも、私だって意味不明だ。



「…お、お兄さんたち………、」


視界がぐらぐらする。
自分でも意識しないで、目が揺れてるんだ。

ふらつきそうなのを我慢して、私は意を決して二人に訊く。



「稔兄ちゃんのこと知ってるの…!?」



知ってるならなぜ、

稔兄ちゃん(わたし)を見て怯えるの?



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