アンダーサイカ
「え…………?」
私の口から稔兄ちゃんの名前が出た時、お兄さんたちの顔からほんの少しだけど恐怖の色が消えた。
「稔“兄ちゃん”って……、
お前まさか、稔の妹……?」
私が“稔”じゃないと気づいたからその恐怖は僅かに引いた。
…でも、それは何を意味しているのか。
「…うん!そう!
お兄さんたち、稔兄ちゃんのこと知ってるんだね?友達?クラスメートだった…!?」
享年12の稔兄ちゃんが亡くなったのが、今から10年前。
もし亡くならず今も生きてたら、ちょうどこのお兄さんたちくらいの歳だ…!
…やっとだ。
―――やっと、お父さんとお母さん以外で、稔兄ちゃんを知ってる人に会えた…!