アンダーサイカ



でも、お兄さんたちは、私の予想していた答えとは、

遥かに次元の違う答えを用意していた。



「……お前、…自分の親に何も聞かされてないわけ…?

稔が…小学生だった俺達に何をしたか…!どんだけ胸糞悪いことをしたか…ッ!」


「…っ?」


―――胸糞、悪い…?

何それ。


「うそ…、だってお母さんは稔兄ちゃんのこと、優しい子だって…。」


思いやりがあって、クラスの皆に頼られる特別な存在。
私は小さい頃からそう聞かされてきた。

そう、聞かされて……。


「…バッカじゃねえの…ッ?

子供が子供なら、親も親だな!あのクソみてえな兄貴、どれだけ美化してきたんだよ!?」


さっきまで怯えていたお兄さんたちの目が、変わった。

私を見る目つきには深い憎しみがこめられている。
それはまるで、私に稔兄ちゃんを重ねているかのようで、


お兄さんたちがどれだけ稔兄ちゃんを憎んでいるかが、残酷なほど理解できた……。


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