アンダーサイカ
でも、
「…あれ?
お母さんに…お父さん?」
少し先に見える家の玄関から出て来た二人は、間違いなく私の両親。
二人はどこか思いつめた表情で家に鍵をかけ、
「あ、あれ?あれ…っ?」
家の前に呼んでたらしいタクシーに乗り込んでいく。
―――どこか出掛けるなんて聞いてないけどな……。
狼狽えてる間に、タクシーはエンジンを吹かして今にも発車せんとしている。
「!
…お、お母さん!お父さん!」
私は慌てて声を上げたけど、
――ブロロロッ…
「あ…………。」
タクシーは二人を乗せると早々にどこかへ走り去ってしまった。
置いてきぼりをくらった私は、ただ唖然と立ち尽くすだけだった。
「…お、お夕飯は……?」