アンダーサイカ
私の注意が人影に向いている隙に、ヨシヤはヒョイッと軒先に戻り何事もなかったような顔をする。
ヨシヤ以上に恐い人がやって来たのはその直後だった。
「…薬屋。今しがた、持ち場を離れようとしたな。」
どすのきいた声。
その人の姿を見た時、私はくらりと目眩を覚えた。
ヨシヤも身長は高いけど、この人はそれ以上。2メートルはあるんじゃないかという、山のような体型だ。
おまけに服装は、自衛隊が着ていそうな土気色の軍服。
手には大きな銃剣を握ってて、じろりとヨシヤを見下ろす姿はまるで処刑人のようだった。
…ただヨシヤと同じように、この人も真っ白な髪と、青白い顔をしてる。