アンダーサイカ
「…よし。
次からは一歩増えるごとに罰金の額も上がっていくからな。
せいぜい店の中で大人しくしていることだ。」
「はい、分かりました。
お勤めご苦労様です。」
丁寧に頭を下げるヨシヤ。
のっしのっしと、大股でその場を去っていく警備員さん…。
私は少し体を伸ばして、警備員さんの入った曲がり道を見るんだけど、
あの大きな体は、通路の暗闇の中へ消えてしまった…。
「ほらね。こういうわけで、僕は店の外に出られないんです。
豊花ちゃんにお使いを頼んだのはこのため。」
軒先で巾着のお財布を広げながらヨシヤは言う。
その声は穏やかだったけど、どこか諦めを含んでいた。
「わ、わざわざ説明するためにルール破って…、あんなに罰金払ったのっ?」
「ええ。こうでもしないと、豊花ちゃんは納得してくれないと思いましたから。」