アンダーサイカ


―――そんなこと言っても…。


「…ヨシヤが頑張って稼いだ売り上げでしょ…?
あんなつまんないことで…。」


「いえ、いいんです。
薬屋は他の店よりも需要がありますから。多い出費でしたが、自分の首を絞めるほどじゃありませんよ。

いつもこうですから。

僕達商人が苦労して売り上げを伸ばしても、さっきみたいに様々な理由で徴収される。
基本的な生活費はもちろん、維持費、罰金…。
一日の売り上げを考えるとプラマイゼロってところですかね。」


大人の世界のことはよく分からないけど、これだけは分かる。
さっきのことで確信した。ヨシヤは、


「…本当に、ここに閉じ込められてるんだね。」


生活に必要なお金を払うために死に物狂いで働いて…、それなのに、少しも休めない。お店に縛り付けられてるんだから。

今まで、にわかには信じられなかった。
ヨシヤは物理的な意味で、この世界に拘束されてる。


私はそれをとっても…不憫に感じたんだ。


< 193 / 506 >

この作品をシェア

pagetop