アンダーサイカ
―――そんなこと言っても…。
「…ヨシヤが頑張って稼いだ売り上げでしょ…?
あんなつまんないことで…。」
「いえ、いいんです。
薬屋は他の店よりも需要がありますから。多い出費でしたが、自分の首を絞めるほどじゃありませんよ。
いつもこうですから。
僕達商人が苦労して売り上げを伸ばしても、さっきみたいに様々な理由で徴収される。
基本的な生活費はもちろん、維持費、罰金…。
一日の売り上げを考えるとプラマイゼロってところですかね。」
大人の世界のことはよく分からないけど、これだけは分かる。
さっきのことで確信した。ヨシヤは、
「…本当に、ここに閉じ込められてるんだね。」
生活に必要なお金を払うために死に物狂いで働いて…、それなのに、少しも休めない。お店に縛り付けられてるんだから。
今まで、にわかには信じられなかった。
ヨシヤは物理的な意味で、この世界に拘束されてる。
私はそれをとっても…不憫に感じたんだ。