アンダーサイカ
「じゃあ私戻るね。
楽しかった。バイバイマサちゃん!」
笑顔で手を振る私を、マサちゃんはずっと仏頂面で見送っていた。
片手にお肉の袋を提げて、私は1番街の…ヨシヤのもとへ走る。
「へへ…。」
ここには人間らしくない恐い人ばっかりだと思ってたけど、案外そうでもないみたい。
マサちゃんは意地悪だけど女の子らしい面もあって、そしてヨシヤは……――、
「あ!」
「あ、お帰りなさい豊花ちゃん!」
私が戻るまでヨシヤはずっと軒下で待っていたみたい。
青白い顔に浮かぶニコニコ笑顔が私を出迎えて、ほんのちょっと、私は安心を覚えた。
―――ヨシヤは何だかんだ言って、私の面倒を見てくれる…。
「豊花」って名前を呼んでくれることが…、
それがちょっとだけ…嬉しかった。