アンダーサイカ
「…僕、あやうく罪を犯すところでした。」
「た…っ、食べないでよ…!!」
言いようのない危機感を覚えて、私はとっさに2メートルくらい後ずさった。
ヨシヤのギラギラした、でも切なげな瞳を睨みつけて。
だってここには煮る用のお鍋も、和える用の卵もある。
ヨシヤが私を調理できる絶好の環境なんだから。
「…え?あ、あぁ…そっちの意味ですか?
うん、まぁ…そういうことにしておいてください。」
ヨシヤのそんな煮え切らない言葉の意味は、私にはよく分からなかった。