アンダーサイカ
冷めてしまったせい?
それとも、ずっと前からこんな味だった?
よく分かりません。
ただ、豊花ちゃんと食べた時は、確かに美味しくて…。
『二人で食べたほうが美味しいですし…――』
あれは半ば冗談で言ったはずなのに、まさか本当になるなんて思ってもみませんでした…。
「……………。」
ピンクのお箸を唇に添えて、僕は一人考えます。
とても些細で、だけどとても厄介なことを。
「……いけない、いけない。
僕は彼女を食べなくてはならないのに。」
彼女を食べたい。
でも同時に、食べるのが惜しいと思ってしまう。
豊花ちゃんに接吻されたおでこにそっと指を当てて、僕は思い悩みます。
…本当に、厄介です。