アンダーサイカ



夏はまだまだこれから。

クーラーの効いた涼しい図書館で、私たちはまた、



「ちょっとちょっと豊花!
20年前に惨殺事件があったんだって!隣町だけど!
…コワ~!」


「…………。」


過去に町内で起こった事件を調べ続けていた。


潤ちゃんはいざ肝試しになるとビクビクするくせに、こういう調べ物はいやに乗り気。

さっきから続けざまに聞かされた「猟奇事件」とか「惨殺事件」とかの単語のせいで、私は早くもやる気を削がれつつある…。


それに今日は、潤ちゃんと私の二人だけじゃなかった。



「…なあなあ、こんなん調べて何が楽しいんだよ?
何か意味あんの?」


昨日は結局丸一日家で寝ていたらしい拓くんが、今日は朝からグループ研究に参加していたんだ。


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