アンダーサイカ


「さて豊花ちゃん、ここでクイズです。

このアンダーサイカに出入りできる存在は大きく分けて4種類あります。
そのうちの3種類は何でしょうか?」


クイズ方式だなんて。完璧に子供扱いしてくれちゃって。

―――でも、出入りできる…?

それを聞いて真っ先に思いつくのは、やっぱりあの黒いオバケたち。


「オバケとヨシヤと…私?」


「そう。お客様と商売人と、それから地上人ですね。」


私の言葉を言い直して、ヨシヤはふいに指を4本立てた。
そのうち3本を折り曲げ、残った人差し指を意味深に口元に添えながら…、


「最後のひとつ。
地上人よりも稀に、アンダーサイカに出現する存在。
それは商売人よりも執念深く、お客様よりも狡猾…。

僕達はそれを“人鬼(ひとおに)”と呼んでいます。」


「…ひとおに………?」


すかさず配達員さんが、持っていた紙に鉛筆で字を書いて教えてくれた。

人に、鬼…。馴染みのない、なんだか恐い字だった。


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