アンダーサイカ


オニと名がつくくらいだ。
きっと本当に、鬼みたいに恐い姿をしているに違いない。

一人震え出す私に、ヨシヤはどこまでも淡々と告げる。


「その人鬼が、アンダーサイカのあちこちで目撃されていることを人づてに知りまして。

被害が出ては大変…ということで、“薬屋の厄除け薬を調合した清めの塩を売ってほしい”と依頼が殺到したんです。」


なるほど、それでこのお塩の話と繋がるわけか。


「でも“被害”って?」


オバケ相手に平然と商売できるヨシヤたちにとって、並大抵のことは苦じゃないように思えるけど。

そうぼんやり考えていると、ヨシヤの言葉が雷みたいに私の体の芯を刺した。



「人鬼は“僕達を食い殺す”ことを目的としているんですよ。」



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