アンダーサイカ
けれど返ってきたのは、予想外の言葉だった。
「…豊花ちゃん、
豊花ちゃん、
豊花ちゃん、
豊花ちゃん。
豊花ちゃん!」
「!?」
続けざまに5回も名前を呼ばれて、私は返事をすることも忘れて呆気に取られてしまった。
ごまかそうとしてるのか、単にふざけてるのか…。
「…名前を支配した以上、きみはもう僕のものです。」
でも、どちらも違っていた。
「…だから、全部教えてあげますね。
僕がなぜ人鬼を“放置”するのか。そもそも人鬼とは何なのか。
…そしてなぜ、僕は豊花ちゃんを食べようとするのか。」
いつの間にか、ヨシヤは私のすぐ傍まで迫っていた。
頬を指で撫で、髪に指を絡ませる。その手つきはまるで蛇みたい。
私は文字通り、蛇に睨まれた蛙のように、その場から動けなかった…。