アンダーサイカ


「僕はね、豊花ちゃん。
人鬼になりたいんです。」


「人鬼に…“なる”って…?」


「そのままの意味…。
アンダーサイカを徘徊する怪物になりたいんですよ。」



正気じゃない。
だってさっきヨシヤ、自分で「恐ろしい」って言ったのに。
商売人たちを殺す、恐い鬼だって。


「そのためには定められたルールをひとつ破らなくてはいけません。
そう、“地上人を食べる”ことです。

人鬼になればこの暗く静かな牢獄(店)から解放される。束の間の自由を手にできます…。」


ふと悲しげな目になった。

だけどそれはこの後の恐ろしい告白へ繋がる前置きでしかなかった。



「そして人鬼になったら、次は商売人を食い殺して、“お客様”になります。」



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