アンダーサイカ
「…“キョウ”。俺の名だ。
地上人に支配の力は適用されないが、いざという時は叫べ。
…必ず助けに向かう。」
警備員さん…キョウくんは、今まで以上に真剣な顔で名乗ってくれた。
名前を教えるのって、やっぱり勇気が要るのかな。
教えてくれた名前を忘れないように、私は頭の中で何回も繰り返す。
最後は口に出して、
「うん。
ありがとう、キョウくん!」
名前を教えてくれたことに。
そして、認めてくれたことに。
キョウくんは帽子を深くかぶり直すと、銃剣を脇にしっかりと添え、力強い足取りで薬屋を離れた。
「…気をつけろ、ユタカ。」
「!」
その際合った彼の目は…、暑苦しいくらいの保護欲に燃えていた気がする。
「うん、キョウくんもね。」