アンダーサイカ


真っ白な塩に混ぜられてく、黒っぽい煤(すす)みたいな粉…。
この粉が厄除け薬らしい。
言われなきゃただの炭にしか見えないけど。


「薬に魔除けとか厄除けとかあったんだね。」


「ええ。僕も初めは信じられませんでしたけど。
病魔が治せるなら鬼も追い払えるだろうという、やや無理のあるこじつけです。」


「ふうん…。こんなにたくさんお店があるなら、専門のお店もありそうなのにね。
お祓い屋さんとか。」


「……………。」


ここで黙られるのは意外だった。

ヨシヤならまた笑いながら「そうですね」とか当たり障りない答えをしそうなのに。



「…祓い屋は、ありませんね。
商売人は皆、快く思っていませんから…。」


「そうなの?…んーまぁ、そういうのもあるかもね。
“宗派”っていうんだっけ?」


「ええ、そうですね。」


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