アンダーサイカ
私の話を始めてからは、お茶を飲む回数のほうが少なくなった。
どんな話をしてもヨシヤは興味深そうに聞いてくれて、私は嬉しくてどんどん話題を出すから。
学校のテストの話、給食の話、潤ちゃんや拓くんの話、夏休みのグループ研究の話も。
「でね、グループ研究としてアンダーサイカのことを記事にしようと思ったんだけど…、潤ちゃんも拓くんも記憶を書き換えられて覚えてないから、結局変更になっちゃったの。」
「おや、それは残念。
噂を聞いた地上人が迷い込みやすくなれば商売人(ぼくたち)はだいぶ楽になるのに。」
「逆にキョウくんのお仕事が増えちゃうね。」
ふふふ…と二人で笑い合う。
気づけば湯呑みのお茶はすっかり冷めてしまっていた。