アンダーサイカ
「…あと、お兄ちゃん。」
稔兄ちゃんはやっぱり家族だ。
私の大切なお兄ちゃんだ。
「へえ、ご兄弟がいたんですね。」
「え?」
今のヨシヤの返しに引っ掛かりを覚えた。
だって私、お兄ちゃんがいるとは答えたけど、
「いた」なんて…“死んだ”なんて言ってないんだもの。
―――ねえ、まさか……。
「…ヨシヤ、まさか、
私のお兄ちゃんのこと知ってる……?」
ヨシヤは穏やかに微笑んで、
「やっぱりそうでしたか。
豊花ちゃん、きみは“ミノルくん”の妹さんなんですね?」
私が心の隅で恐れていた答えを、平然と口にした。