アンダーサイカ
沸騰した電気ケトルが「ぱちん」と軽快な音を立てる。
それでも私はヨシヤから目が離せなかった。
―――今、ヨシヤは…何て言った?
聞き間違いじゃないなら、今確かに、
―――“稔兄ちゃん”の名を口にした?
「ヨシヤ、なんで…稔兄ちゃんのこと知ってるの?」
「知っていますとも。」
私の問いに、ヨシヤは胸を張って答える。
「ミノルくんは僕の友達であり、ヒーローなんですから。」
「ヒー…ロー……?」
意味が分からなかった。
友達ってことは…、稔兄ちゃんはアンダーサイカに来たことがあるってこと?
ヨシヤと知り合って友達になって、……いや、名前を知ってるってことは私みたいに支配されてた?
でも、それっていつ?10年以上前?稔兄ちゃんが12歳の時より前ってこと?
その後、斎珂駅で自殺した………?