アンダーサイカ









「…それは大昔から続いていた形態。

現代の日本の川は、昔に比べだいぶ埋め立てられました。
この斎珂駅にも昔は、斎珂川という小さな川が流れていたんですよ。

だからここの賽の河原は、
“河原の石積み”から自然と“駅地下街の商売”へと、形態が変わっていったのです。
…まるでアンダーサイカに意思があるようにね…。」



それを語るヨシヤはなんだか自嘲気味な笑みを浮かべていて、まるでアンダーサイカの移り変わりを全部その目で見てきたかのような雰囲気すらあった。


でも、有り得ない話じゃない。


だって、



「…憎らしいほどすべてを鮮明に覚えています。

だって僕は本当はどこにもいない、大昔に死んだ人間なんですからね。」



< 331 / 506 >

この作品をシェア

pagetop