アンダーサイカ



ヨシヤもまた、稔兄ちゃんと同じ“死んだ人”……。



「……………。」


彼のにこやかな顔を、私は呆然と見つめる。

つまりここにいる彼は生身なんかじゃない。
体はとっくの昔に死んで、魂だけの存在。

…だから髪も顔も白くて、疲れ知らずだったのか。
生気が、無いんだもの。



―――ヨシヤだけじゃない。



マサちゃんも、配達員さんも、キョウくんも皆…。



そう思った時、私は無意識に立ち上がって、ヨシヤの頬に触れていた。


「……。」


指先だけで、彼の肌に触れる。
どこかひんやりとした感触が伝わるけど、


「………ねぇ、さわれるよ…。」


「………。」



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