アンダーサイカ
ただ嬉しい。
ずっと会いたかった人に会えた。それが例え死んでしまった人でも…確かにここにいる。
私が稔兄ちゃんの体に手を回しているのと同じように、稔兄ちゃんも私を抱きしめてくれた。
ひどく冷たい。
けどそんなの気にならないくらい、私は夢中で。
「……そっか。
母さんたちはボクのこと、豊花にちゃんと教えてくれなかったんだね。
…まぁ、そうだろうね。そのほうが豊花のためだもの。」
「…っ、そんなことないよ!
私こうして稔兄ちゃんに会えて、すっごく嬉しいもの!
悪いことなんてない!」
でも気になる。
なぜお母さんは頑なに稔兄ちゃんのことを隠したのか…。
稔兄ちゃんは良い子だから嫌われるわけない…。じゃあどうして…。