アンダーサイカ


ただ嬉しい。
ずっと会いたかった人に会えた。それが例え死んでしまった人でも…確かにここにいる。


私が稔兄ちゃんの体に手を回しているのと同じように、稔兄ちゃんも私を抱きしめてくれた。

ひどく冷たい。
けどそんなの気にならないくらい、私は夢中で。



「……そっか。
母さんたちはボクのこと、豊花にちゃんと教えてくれなかったんだね。

…まぁ、そうだろうね。そのほうが豊花のためだもの。」


「…っ、そんなことないよ!
私こうして稔兄ちゃんに会えて、すっごく嬉しいもの!
悪いことなんてない!」



でも気になる。
なぜお母さんは頑なに稔兄ちゃんのことを隠したのか…。

稔兄ちゃんは良い子だから嫌われるわけない…。じゃあどうして…。


< 346 / 506 >

この作品をシェア

pagetop