アンダーサイカ









「…そうですか。
どうりでさっき電話で頼んだ段ボール箱が、まだここにあるはずです。」


憎々しく足元の箱を見下ろします。
口調は軽めですが、内心僕はひどい焦りを感じていました。


だって、僕が聞いた人鬼の目撃場所は15番街…。ここ1番街から遠く離れた場所だったのですから。


―――もうこんな所まで来ているなんて…。



「現在、アンダーサイカ中の警備員を集め、1番街中を捜索している。
…じきにお客様方も到着する。
それまでに、人鬼の捕獲に至らないまでも、せめて犠牲者は増やさんようにしなければ。」


「……ええ。同感です。」


正直なところ、商売人が何人喰われようがお客様にバレようが、僕にとっては大したことではありません。

…ただ問題なのは、その人鬼によって豊花ちゃんが殺されないか…ということ。


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