アンダーサイカ


笑顔じゃないヨシヤを見るのは初めてだった。

それはどうやら稔兄ちゃんも同じらしく、残った人の顔には驚きの色が浮かんでいる。



「…薬屋、ボクに逆らうの?

……ボクの命令を忘れたわけじゃないだろう?
“笑顔を絶やすな”、“ボクの味方をしろ”って…。

昔、お前が言ったんじゃないか…。人鬼であるボクを尊敬してるって…!ヒーローだって!
…ボクを裏切らないってさ!!」



「…………。」


稔兄ちゃんは焦っていた。


対するヨシヤは瞳に決意を宿し、稔兄ちゃんを真っすぐ見つめている。

批難や軽蔑じゃない。これはきっと、決別だ。



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