アンダーサイカ
「………ヨシヤ?」
なんだろう。その台詞には、稔兄ちゃんと私に対する敬意とか親愛とかの他にも、別の意味がこめられてる気がする。
私が無意識に名前を呼ぶと、ヨシヤはまたフッと笑顔を浮かべる。
ただそれはとても優しいもの。
「…豊花ちゃん、僕がなぜアンダーサイカに幽閉されることになったか、理由が気になりますか?」
「…う、うん…。」
「では、聞いてください。
僕はね…―――、」
そして、ヨシヤの口から語られる。
50年前の彼のエピソードが。