アンダーサイカ
私はヨシヤの頭に手を回し、しがみついた。
けれど包丁の猛攻は、
バババババッ――という更に大きな音によって消された。
「っ!?」
稔兄ちゃんが息を呑むのが分かった。
「ユタカ!薬屋…!!
早く離れろ!!」
「っ、キョウくん…!」
顔を上げた私が見たのは、
キョウくんを中心に真横二列に整列し、銃剣を構えた警備員さんたち…警備隊だった。
すべての銃口から細い煙が立ち上っている。
皆が一斉に銃を撃った理由は、
「…さすが、伊達に数百年も警備員をしているだけのことはありますね…。」
呆れとも感心ともとれる声を出したヨシヤが説明してくれた。
まさに神業。
キョウくんたちはあの包丁すべてを“撃ち落とした”のだ。