アンダーサイカ


「――っっ!!!」


私は声にならない悲鳴を上げた。



太い針に串刺しにされ、そのまま宙に浮く稔兄ちゃん。

お腹からは血の代わりに黒い液体が流れ出し、
真っ黒な半身の目からも、人の目からも、痛みと悔しさと悲しみで真っ赤な涙が流れている。


そんな痛々しい稔兄ちゃんの姿を見せつけられて、私は…



「…やっ、やだ、やめて!
稔兄ちゃんを離してっ!!」



「…あッ、豊花ちゃん!!」


ヨシヤの止める声も聞かず、オバケの傍へ駆け寄った。



「豊花ちゃんいけません!!戻ってくださいッ!!」


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