アンダーサイカ
ゴボゴボゴボゴボッ…と足元の黒い沼が激しく沸騰し始めた。
驚き声を上げる暇もなく、オバケと私、そして稔兄ちゃんと…ヨシヤの体が徐々に、
沼に沈んでいく。
「…きゃ…!」
「…あっ、豊花ちゃん…!!」
バランスを崩して、私は沼に尻餅をつく。
けれど起き上がることは叶わなかった。突いた手もどんどん沈んでいくんだ。
顔を上げた時に見たオバケは、少しも動揺していなかった。
当然だ。この沼を生み出した張本人なのだから。
そしてこれから向かう先は、もちろん…――、
【イザ行カン。
我等ガ地獄ヘ―――。】
オバケの号令と同調したのか。沼の沸騰は更に激しさを増し、襲いくる波に私は呼吸さえままならなくなった。