アンダーサイカ


手を離さないように、強く強く握り締めて。



「…ヨシヤ行かないで!お願いだからっ…!
私、もっともっとヨシヤといたいよ!お別れしたくないよぉっ…!!」



沼が纏わり付いてくる。体のほとんどが沈み込んで、このままだと私まで地獄に飲み込まれるかもしれない。

でも、手を離したくなかった。


ヨシヤに死んでほしくなくて。

ヨシヤと…離れたくなくて。



「ユタカ…っ!!」

キョウくんの呼び声と、


「…豊花ちゃん…、手を…、」

ヨシヤの悲痛な訴え。

どっちも聞きたくなくて、私は首を横に振る。


「やだっ!
やだ、離さない…!!

ヨシヤと一緒にいる…!!」


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