アンダーサイカ



「豊花ー!こっちこっちー!」



午前9時。図書館に行くと、もう潤ちゃんと拓くんが待っていた。

暑いんだから屋内に入って待っててくれればいいのに、ガラスのドアの前に二人はいて、
何より驚いたのは、遅刻常習犯の拓くんが、ちゃんと時間どおり集合場所にいたことだ。


「あー、今日は私がビリかぁ。
ごめんね、待たせちゃったよね。」


ちょっと申し訳なく謝ると、潤ちゃんは拓くんを指差しながら、


「んーん、全然オッケーよ!こいつが早すぎただけだから!」


「オイ、おれはちゃんと時間どおりに来たんだぞ?」



ムスーッとふてくされる拓くんに、私は思わず笑ってしまった。


いつもどおりの、皆でのお喋りのはずなのに、

…それがなんだか、すごく懐かしく思えた。



なぜかな?



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