アンダーサイカ


「え?」
「そうなの?」


私と潤ちゃんの声が揃った。

優太くんは、拓くんとかなり仲の良い男の子だ。
その優太くんが、卒業したら遠い所へ行ってしまうなんて…。


「全然知らなかったよ…。」


「だろうなぁ。
…あいつまだ、おれにしか打ち明けてないんだよ。」


やれやれまったく…と呟きながらも、拓くんの横顔はちょっと悲しげだ。

拓くんには思うところがあるらしい。だってその呟きのあとに、


「……なぁ。
もし、おれ達も遠くへ行くことになって、離れ離れになってもさ…、

豊花も潤子も、おれのこと忘れないよな?」


どこか弱々しい声で、そんなことを言うんだもの。


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