アンダーサイカ



「……そうだよね。
忘れたりなんかしない。大好きな人たちだもの…。」



それは自分自身に言い聞かせるような呟きだった。

と、同時に…、


「…でも、なんでこんな…焦ってるの?私………。」



心に不可解なざわめきが溢れて、落ち着かなくなっていた。
潤ちゃんたちと話していた時にもあった感覚。それがどんどん…強く大きくなってくる。



「………なんなの……っ?」


早く、早く、急がなきゃ。

私は“何か”をしなくちゃいけない。

“何か”を思い出さなくちゃいけない。


それが何なのかも分からないのに、“何かを忘れてる”ことだけはハッキリと意識できた。



「うぅぅっ……!!」


頭が痛い。まるで誰かが、脳みそを突き破ってでも外に出て来ようとしてるみたい。


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