アンダーサイカ
「…いたいっ…、やめてよ、やめて…!!痛い…ッ!」
ギュウッと頭を抱えてその場にしゃがみ込む。
頭痛はどんどん激しくなっていって、あまりの恐怖に“死”さえ意識してしまった。
……その時だ。
「―――…ヨ シヤ………?」
ふっと、浮かんだひとつの名前。
誰かも分からない名前のはずなのに私は、それを口にした瞬間、
「……あっ、あぁぁあ…!!」
ぴったり閉じられていた宝箱の蓋が、開くように、
「…あぁ、…あぁぁ…!!
…ヨシヤ…!ヨシヤ……!」
思い出した。
全部、全部、全部。
あの奇妙な世界のことも、奇妙なオバケたちのことも、
稔兄ちゃんのことも、
そして、
身代わりとなって私を逃がしてくれた、優しいヨシヤのこと。