アンダーサイカ


雲が激しく流れ、空を覆っていった。

同時にぽつりぽつりと降り出す雨。
やがて雨はその量を増し、5分と経たないうちに豪雨へと変貌した。


夏の嵐は恐くて冷たい。
でもアンダーサイカでの恐怖に比べたらそんなもの…―――。



「……ッ、」


ガシャンと音を立てて、私はフェンスにしがみついた。


旧斎珂駅は相変わらず高いフェンスとシートに囲まれ、人が入り込む隙もない。

潤ちゃんたちと潜り込んだ穴も隠されたらしく見つからなくて、私はどうしようもないからフェンスを叩く。


「…だ、誰かっ、誰か中にいませんか…!?
お願いだから入れて!ちょっとでいいから…!!」


ガシャン、ガシャンと激しく音が鳴る。

雨のせいで周囲に人の姿はなく、誰に縋ることもできなかった。


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