アンダーサイカ
「いらっしゃいませ、お客様。」
ヨシヤが開店準備を整えて5分も経たないうちに、オバケがひとり、のそのそと来店してきた。
ひどく腰を屈めた小人。
顔のパーツは目玉しかなくて、それをぎょろぎょろさせて店の中を見てる。
「………っ。」
しまった、目が合った。
体を強張らせてると、
オバケと私の間にヨシヤが立ちはだかった。
「本日は何をお求めですか?」
物腰も言葉遣いも丁寧で商売人の鏡みたい。
オバケはヨシヤの顔を見上げて、自分の喉を指さした。
声が出ないのかな。
「なるほど、喉風邪ですか。それはさぞお辛いでしょう。
ではうがい薬をひと瓶でよろしいですね。」
「!?」
なんで分かるの!?