アンダーサイカ
滲んだ涙を袖で強く拭って、私はフェンスを睨みつける。
「…ヨシヤと稔兄ちゃんを返して…!!
私の大事な人たちを、理不尽なルールで取り上げないで…!
どんなに遠いところにやったって、私、絶対走ってって、
取り返してやるから…っ!!」
誰に向けて言ったのかも分からない。
言うなればきっと“アンダーサイカ”に…だ。
…それに確信はなかったけど、なんとなく私の言葉は、
“誰か”の耳に届いてる気がして…。