アンダーサイカ
「………。」
罠かもしれない。
地上人を招き入れるための甘い罠かも…。
だけど、
「………っ。」
―――上等だよ。
私は力強い足取りでドアをくぐった。
望むところだ。
アンダーサイカに入れるなら、罠なんてちっとも恐くない。
生者の世界から、死者の狭間の世界への境界を跨ぐ。
――ギギイィ…
その直後、ドアはひとりでにゆっくりと、入り口を閉ざした。
後戻りはできない。そんな声が聞こえるようだった…――。