アンダーサイカ


そこは真っ暗で、耳鳴りがするほど静かな空間だった。


明かりもなにもない。
天井も壁も地面も見えなくて、ここが狭いのか広いのか、それすら見当がつかない。

恐る恐る一歩だけ足を出して、


「………あ。」


硬い地面を踏むことができた。
どうやらコンクリート…みたいだ。



二歩、三歩と進み出る。
ついでに左手を伸ばしてみると、案外すぐに硬い壁に触れた。
これもコンクリートみたい。


「…そうか、トンネル…。」


人が二人並んで歩ける程度の狭いトンネル。例えるならそれが、今いるこの空間だ。


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