アンダーサイカ
勇気を出して、先を目指して歩く。
壁を伝いながら。目を凝らしながら。
見世物屋でのオバケみたいに天井から何かが現れたらどうしよう…。そんな不安もあったけど、周囲はしんと静まり返るばかり。何かが現れるような気配は無かった。
幸いというべきか、残念というべきか…。
――ひた、ひた…
――ぺた、ぺた……
「……………。」
私が壁に手をつく音と、靴が地面を歩く音ばかりが、嫌に耳につく。
あまりの静寂。まるでこの世界に私一人しかいないみたいな…そんな恐怖がじわじわと沸き上がって、
「…っ、だ、…誰か!
…誰かいませんかっ?」
長く長く続く暗闇に向かって呼び掛けてみた。